沖縄の海岸線を守るテトラポットはどこで売っているの？

周りを海に囲まれた沖縄。島の至ることろで見かけるテトラポットは、護岸工事には欠かせない資材です。私が子供の頃は形もサイズも全部同じだと思っていたのですが、今は形も様々。サイズも見慣れた小さいものから、ビックリするくらい巨大なものもあります。

当然ながらこのテトラポット、誰かが造って、海岸線まで運ばれてきます。「誰が造っているの？」「どこで売ってるの？？」「いくらするの？？？」気になりだしら、もうキリがありません。湧き出る疑問を全て解消するのは難しいですが、ちょっとだけ答えを見つけちゃいました！

本名は《消波ブロック》

一般的にテトラポットと呼ばれているこの巨大なコンクリートの塊。土木業界では「消波（しょうは）ブロック」と呼ばれていて「波消（なみけし）ブロック」と呼ばれることもあるそうです。

「テトラポット」とは、とある企業の商品名なんだそうです。なので、ここから先は「消波ブロック」と呼ぶことにします！

消波ブロックはこんなところで造られていた！

ご存知の方もいるかもしれませんが、糸満漁港の一角に消波ブロックが沢山保管されている場所があります。那覇空港の新滑走路建設工事に動員される土木作業船が多く停泊している糸満漁港ですが、その関連資材でしょうか？超巨大な消波ブロックがズラーッと並んでいます。

ここで造っている！

どこで造っているのかな？と思っていた消波ブロック。なんと！ココで造っていました。漁港の脇に広いヤードがあるのですが、ある日そのヤードにでっかい型枠が組まれているのを見かけました

これはどう見ても消波ブロック。こんな風に造るんだ～。

そう思いながら二日、三日と経ち、あれよあれよという間に作業が進んでいきました。

そして四日目。消波ブロックがすっかり完成しました。コンクリートがこんなに早く固まるとは思っていなかったので、4日での完成には少し驚きました。

どんな造り方なの？

消波ブロックは型枠にコンクリートを流し込んで作ります。バラバラだった型をつなぎ合わせて、その中にコンクリートを流し込み、固まったら型から出して移動するのです。

最初はこんな風にバラバラです。

組み立てていくと、だんだん消波ブロックらしい形になります。

型枠にハシゴが掛けられました。流し込んだコンクリートの状態を確認する為でしょうか？？

色んな道具が使われるのですね。

消波ブロックは出来上がったものが売買される訳ではなく、建設会社が型をレンタルして自分達で造るのだそうです。レンタル料も小さいモノなら一月数千円程度だそうで、80トンクラスになると10万円近くになるそうです。

なので、タイトルにもなっている「どこで売っているの？」の答えは「自分で造る」ということになりますね。ここで造られている消波ブロックは、おそらく80トンクラスじゃないかな？

業界では材料の在り方も模索している

まだ流通量は少ないようですが、大手ゼネコンでは震災コンクリートがらを消波ブロックの材料にするなど、コスト面や環境に配慮した材料の研究が進んでいるそうです。

（引用：『株式会社大林組』　https://www.obayashi.co.jp/service_and_technology/related/tech_d095）

こんな場所で活躍します！

種類にもよりますが、消波ブロックはこんな所で活躍しています！

こちらは糸満市西崎町の工業団地（埋め立て地）の海岸線です。比較的小さめの消波ブロックが使用されています。

こちらは現在工事中の那覇空港。増設される新滑走路にも消波ブロックは採用されています。サンゴや生物が生息できるよう、護岸の一部に消波ブロックや自然石を使った傾斜を造るそうです。

（引用：内閣府『那覇空港プロジェクト』　http://www.dc.ogb.go.jp/Kyoku/information/nahakuukou/）

こんなお船で移動します！

海洋土木に欠かせない消波ブロック。移動の時はもちろんお船に乗ります。以前、糸満漁港に停泊している土木作業船のお話をしましたが、その中でも台船に乗ることが多いようです。

こちらは糸満港で撮影した台船です。タグボートに引っ張られて移動します。

まとめ

私達が当たり前のように暮らしている社会は、私達の知らない沢山の仕事に支えられています。この消波ブロックもその一つ。社会の全てを知ることはできませんが、何か一つ成り立ちを知るだけでもモノの見方が変わる気がします。これからは海に行っても、空港に行っても、消波ブロックに「ありがとう！」って思っちゃうんだろうな。