沖縄県内の木造住宅 実情と今後の行方

2016年のニュースで、皆さんお気づきかとは思いますが、沖縄県内の木造住宅の需要、供給はますます増える傾向にあります。そんな沖縄県内の独特な戸建て事情をこちらで説明していきます。

参考:琉球新報(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-295316.html)

県内外の建築会社がこぞって木造住宅の建物を作っているのはなぜか?

理由は簡単です。
沖縄の風土だからこそ、木造住宅が適しているのです。
今となっては、【沖縄=RC、鉄筋コンクリート】という考え方に固執する事は損だと思います。

台風が心配?シロアリが心配?潮風、塩害が心配?

現代の木造住宅は素晴らしい進化を遂げており、誰でも思いつく、こんな問題は当然クリアしているのです。

?実家がコンクリートだから?
?木造に住んだ事がないから?
?両親が強く反対するから?

そんな理由で木造住宅を懸念される方が多いのが実情で非常に残念です。

一度固定観念を取り払い木造住宅について知っていただきたいと思います。
それでは、なぜ木造が適しているのかを要点をまとめてご説明しましょう。

1. 木造住宅のすごしやすさ

木のぬくもり

「そんなことかよ」なんて言わないでくださいね。
木材に囲まれた暮らしは精神を落ち着かせてくれます。もちろん科学的にも証明された事実です。
普段使っていなくても畳の部屋が落ち着くのと同じように、井草の香りや木の匂いは見た目の癒し以上に疲労回復の効果があったりするものです。
人生の多くを過ごす住宅である以上、リラックスができる場所は大事ですよね。

1986年に静岡大学農学部畜飼育科による住環境に関する実験をマウスを使って行われました。
木、金属、コンクリートで造った箱で飼育したそれぞれの子ネズミの生存率を調査。結果は驚くべきものでした。
木の箱では85.1%、金属の箱では41%、コンクリートの箱ではわずか6.9%…
更にマウスの成長率は、木製の箱で育ったマウスの方が他の箱よりも2倍も高いという結果です。

マウスと人間は違う…それはそうです、人間の方が適応能力が高いから進化を遂げた訳です。
でも、見逃せないデータだと思いませんか?

夏は涼しく冬は暖かい

木の遮熱、断熱効果は非常に高いものだという事をお気づきでしょうか?
熱伝導率が低いので、日中のギラギラした太陽が屋根や外壁を激しく熱しても室内まで熱が届きにくいのです。
つまり冷暖房効果も高いと言えます。冷やした空気や、温めた空気が外に逃げにくいのです。

加湿器であり除湿器でもある

木材には吸放湿性という性質があります。
この性質は、湿度が高いときは湿気を吸収してくれるので梅雨や夏のべたつきの原因を抑えてくれます。また、冬の乾燥した湿度の低いときは逆に湿気を放出してくれるので室内の乾燥状態を防ぎます。
湿度をコントロールする「調湿効果」と呼ばれるものです。
これによって結露やカビの発生を抑えやすくなっています。

2.木造住宅の費用に対するメリット

住宅を建てる・買うという事は人生において一番高価な買い物と言っても過言ではありません。
とは言え少しでも費用を抑えられるかという点も大切な要件の一つだと思います。
一般的な住宅で木造が主流である大きな理由の一つかもしれませんね。

材料費が安い

そもそも、鉄筋コンクリート造だったり鉄骨構造だったりと比較して柱1本とっても安いのは当たり前ですね。

工期が短いから人件費が安い

一般的な鉄筋コンクリート造住宅を完成させるためには、およそ8ヵ月ほど
それに対し木造住宅を完成させるためには、およそ4-5か月ほど
工期が短い分当然人件費は少なくて済みますね。

3.間取りやデザインの自由度

家を買う・建てる時に重要な点を挙げるとするならば、「エリア」「予算」「間取り」この3つです。この3つは賃貸でも同様でよくよく考えなければならないところだと思います。
その中でも「間取り」に関しても木造の利点があるのです。

制約が少なく融通が利く

木造住宅は基礎、土台、柱、梁で屋根を支える構造です。
これら構造体さえ強度を維持していれば、そのほかの部分は融通が利く。
つまり、間取りやデザインの設計に制約が少なく、自由度が高いので「予算」が許すならば大胆な発想の住宅も実現性が高いのです。

家族構成の変化

家を買うときに考えるのは現在の家族を軸に間取りや形状を考えますよね。
寝室、書斎、客間、子どもたちの部屋…
庭でBBQしたいなぁ…車は2台停められればいいか…などなど
近い将来のことは考えやすいですよね、

しかしもう少し先の未来を考えると
「将来的には子ども達が、それぞれの部屋を欲しがる…」
「子どもがそろそろ車の免許を取る…」
「子供たちが巣立って部屋が余るだけだな…」
「両親も歳だし同居を考えようかな…」
「結婚して出ていった子どもが孫と共に、この家に住みたがっている…」
もう考え始めたらきりがないですね…

そんな時々に考え、思い浮かぶのがリフォームや増改築です。
ここでも自由度が高いのが木造住宅です。
完成した鉄骨や鉄筋コンクリート造住宅だと構造上や重量の配分のために増改築に制限が大きく無理に部屋数を増やして生活のしづらい間取りになってしまったりする事が多くみられます。
その点自由度の高い木造住宅は主要の柱や梁を除けばかなり自由なリフォームが可能です。
また、費用負担に関しても当然木造の方が費用も軽く、家族構成の変化によって柔軟に対応できるのも大きな魅力の一つですね。

4.住宅のメンテナンス


昨今、築40年前後の鉄筋コンクリート造住宅の取り壊しが多いのはなぜか?

RC、鉄筋コンクリート造とは経年により、コンクリート自身が風雨に晒されて劣化し、亀裂が入り雨水が浸入、それによりコンクリートの中の鉄筋が錆びて膨張してコンクリートを弾き飛ばす(爆裂)といった傷みが激しい住宅ばかりだからです。
原因は明らかでメンテナンスを怠ったという理由
高額な建物を建てれば、ずっと建ち続けるという訳ではありません。
当然放置すれば家も壊れていくものです…
まして前述の内部の鉄筋の錆は致命傷です。外側から直せないのですから…
なんくるならないのです!

定期的な外壁の塗装、屋上部分の防水シートの張替え、それに伴う足場設置費用、職人さんの人件費…etc…

建てる費用が高い分、メンテナンスにかかる費用も木造住宅よりはるかに高いのです。

5.さいごに…

勘違いされることが多いのですが、沖縄県に鉄筋コンクリート造の家が多いのは台風対策やシロアリ対策のためじゃありません。
沖縄ほどではありませんが大きな台風は内地にも来ます。沖縄よりも陸地が広い分、竜巻も発生します。日本全国シロアリはいます。沖縄以外にも海はありますし潮風にもさらされているところは数多くあります。
ましてや内地にも鉄筋コンクリート造住宅の技術は当然あります。

理由は戦後、焼け野原だった沖縄で家を建てるための木材も何もかも少ない物資で、少ない材料で簡単に作れる家が、当時アメリカから入ってきた技術の鉄筋コンクリート造の住宅だったのです。
米軍が鉄筋コンクリート建築の技術を持ち込み、当時の琉球政府が強く推進した。というのが「鉄筋コンクリートばかり」という結果を産んでいるのです。

参考ページ:沖縄にRC(鉄筋コンクリート)が根付いた理由と現代の木造

今後の沖縄は確実に鉄筋コンクリート造の物件よりも木造の物件が主流になります。

古くからある家から学べる事

築200年を超える沖縄県中城村の国指定重要文化財-中村家住宅(http://www.nakamura-ke.net/)をご存知でしょうか?

(画像元:http://okinawaclip.com/en/detail/18 OKINAWA CLIP)

こんなにも古くから建つ木造住宅が、何度も襲来している大型台風に耐え、シロアリの被害を受けずに200余年建ち続けるにはちゃんと理由があるんです。

もちろん当時の技術では考えられないぐらいに今の木造住宅は進化を遂げています。
地震、台風、火事、シロアリ、塩害などなど
様々な、建物に対する不安要素を取り除く技術を当サイトではお伝えしていければと思います。

こちらのリンク先もご覧ください
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